本「量子力学と私」 鏡と左右反転

朝永振一郎の『量子力学と私』は鏡に関する次の疑問で始まります。

「なぜ鏡は左右を逆に映すのか?」

この問題をつらつらと考えてみると、鏡の性質に思い当たります。それは、「映す像と映った像は、鏡の面からみて等距離にある。」(逆にいえば、鏡はそうなるようにものを映す)というものです。

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わかりやすく図を描いてみました。この図は上方から見ていると思ってください。

図をみると2を基準に1と3が入れ替わっています。つまり「わたし」から見て近いものが鏡に映すと遠くに見え、遠いものが近くに見えます。(番号は私から近い順番に振ってます。)

鏡は左右を逆に(図で言うと黒の1を基準に黒の2と3を入れ替える)はしません。

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これは経験的にも明らかだと思いますし、家の鏡でも実験できます。ではどうして人は鏡をみると左右反転しているように感じるのでしょうか?

簡単な実験をしてみましょう。「フレミングの左手の法則」を覚えているでしょうか?左手をあの形にして鏡に映します。f:id:gzgztmg:20170406003943p:plain

上で確認したように、鏡は等距離に像を映しているだけで番号の順番は変わりません。

さて、3番の指を鏡にまっすぐ向けてください。このとき3番の指が指す方向を前とするとこちら側では1番は「右側」を指しています。

次に鏡の像をみましょう。3番の指が指す方向が前方なので、1番が「左側」を指していることが分かります。この形は右手でなければできないので、鏡に映る像は左手ではなく右手だと解釈されるのだと思います。f:id:gzgztmg:20170406005010p:plain

いまの例では3番の指で前方を指定しましたが、一般には鏡に映る基準(たとえば自分の顔)をもとに(脳がほぼ自動的に)鏡の中の前後左右を決定しているのだと思います。そのため、鏡に映るあらゆるものが左右反転したように感じられる、これが私なりの解答です。

 

<おまけ>

鏡が本当に左右反転させているとしたら、中心軸から等距離に像を映すので下の図のようになります。

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実験すれば分かりますが、こんなことにはなりません。鏡は左右を反転させてはいないので「なぜ鏡は左右を逆に映すのか?」という問いはおかしいということになります。(せっかく図を作ったので蛇足ながら付け足しました。)